奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)の筒井巽水氏、秦恭史氏、諏訪博彦教授、松田裕貴氏、安本慶一氏、大阪大学の稲場圭信教授(一般社団法人地域情報共創センター 顧問)、および一般社団法人地域情報共創センターの峯英一郎が共著した論文
「スマートフォンのブラウザ記憶領域を用いた災害情報流通システムの実装」
が『人工知能学会「社会における AI」研究会 第49回研究会(「社会システムと知能合同研究会」)』で発表・掲載されました。
本研究では、災害時に通信インフラが断絶された状況を想定し、インターネットに依存せずに避難所間で情報を共有するためのインフラレス災害情報流通システムを提案しています。
スマートフォンのWebブラウザに備わる「ローカルストレージ」を活用することで、専用アプリのインストールを必要とせず、避難所や自治体職員・ボランティアが持つスマートフォンを介して情報を“データフェリー”として伝達する仕組みを実装しました。
さらに、本システムには一般社団法人地域情報共創センターが社会実装を推進している「未来共生災害救援マップ(通称「災救マップ」)」をエッジサーバ上に導入。
災害時に通信が途絶しても避難所内外で災害情報を閲覧・投稿・共有できる仕組みを構築しています。
本実装では、オフライン環境でも利用可能な形で災救マップを再構築し、DNS依存の解消やOpenStreetMapを用いた地図タイルのローカル配信など、実災害現場を想定した技術検証を行いました。
■ 掲載情報
論文タイトル:「スマートフォンのブラウザ記憶領域を用いた災害情報流通システムの提案」
著者:
筒井巽水(奈良先端科学技術大学院大学)
松田裕貴(奈良先端科学技術大学院大学)
秦恭史(奈良先端科学技術大学院大学)
諏訪博彦(奈良先端科学技術大学院大学)
峯英一郎(一般社団法人地域情報共創センター)
稲場圭信(大阪大学)
安本慶一(奈良先端科学技術大学院大学)
掲載先:第49回 社会におけるAI研究会(SIG-SAI)/社会システムと情報技術研究ウィーク(WSSIT 2024)
掲載ページ:pp.1–8
開催地:北海道虻田郡(2024年3月)
発行:情報処理学会
URL:https://sites.google.com/site/jsaisigsai/研究会活動/meeting-2024-03
本研究は、災害時の通信断絶を前提にしたエッジコンピューティングとWeb技術を融合した新しい防災情報流通モデルを提示するもので、災救マップの社会実装における技術的基盤としても重要な成果となっています。
当センターでは、引き続き「災救マップ」の高度化と社会実装に取り組んでまいります。